コミュニケーションで自己開示が苦手な人へ/誰でもできる簡単練習法
自己開示とは?自己提示との違いに要注意
自己開示とは、本当の自分を包み隠さず相手に伝えることを言います。
ありのままの自分を伝えることに意味があります。
相手にこう思われたいなどの意図が入ってしまうと、それは自己顕示(じこけんじ)になってしまいます。
自己顕示とは「相手にこう思ってもらおう」という意図を持ち、自分についてを伝えることを指します。
自己顕示には「注目されたい」「目立ちたい」「すごいと思われたい」という心理があります。
自己開示は、相手にどう思われるかは関係なく、ありのままの自分をさらけ出すということなんです。
例えば「~という映画を見たんだけと、私は全然ひきこまれなかった。~という映画のほうが私は好きだな。」「今日は寒いね。寒いのは本当に苦手。いつか年中温かい国で暮らすのが夢なんだ。」などは自己開示になっていますね。
これらは、自分が感じたことや思っていることを素直に相手に伝える内容になっていますね。
コミュニケーションにおける自己開示の効果
アメリカの学者Beryl Levingerは、関係形成モデルという理論を提唱しました。
この理論は、人間関係はお互いが自己開示をすることで深まってくということを説いています。
この理論どおり、やはり親密な人間関係には、自己開示が欠かせないのです。
自己開示をすることで、相手は「こんなことまで私に話してくれるんだ。私のことを信頼してくれているんだな。」と感じるのです。
また、自分から自己開示をすることで、相手の自己開示を促すことにもなります。
ここで分かるように、自己開示は一方的なものではなく、お互いに自己開示をすることで、良い人間関係が築けるものなのです。
自分ばかり自己開示してもダメですし、相手の話ばかり聞いていてもいけないのです。
そして、相手の信頼を得るにも自己開示が効果的です。
特に仕事でセールスをしている人は、自己開示が本当に上手ですよね。
自己開示をうまく取り入れてコミュニケーションをすることで、信頼関係を築き、気に入ってもらえれば、売り上げにポジティブな影響を与えることができるでしょう。
友達がたくさんいるという人は、意気をしなくても自然と自己開示ができています。
ですので、人から好かれ、いつも周りにたくさんの人がいるのです。
自己開示のレベル
自己開示にはレベルがあると言われています。
初対面の人に、いきなり自分が悩んでいる家族関係について相談されたら、少し驚きますよね。
自己開示は段階を踏んでいくことで、徐々に相手との距離を縮める時に有効なので、いきなり自分をすべてをオープンにする必要はないのです。
相手とどのような関係性なのか、心の距離感はどのくらいなのかによって、どのくらい自己開示するかは変わってきます。
知り合って間もないのに、あまりにプライベートに踏み込んだ話をされても引いてしまいますよね。
どこまで自己開示するかは、相手との関係性によるのです。
「自己開示」を通じた人間関係の発展をモデル化した、社会的浸透理論というものがあります。
これは、アルトマンとテイラーという学者によって発表されたものです。
お互いに知らない2人が、顔見知りから親密な関係、そして秘密まで共有できる関係になる過程には、自己開示するレベルを深く(話題の深刻度の程度)すること、そして、自己開示する幅(話題の範囲)を広くすることで2人の関係性が親密になっていくと言われています。
ただし、自己開示も重要ですが、お互いのプライバシーを重視することが、長期的に親密な関係を維持するためには重要であるとも強調しています。
自己開示の返報性
自己開示の返報性(へんぽうせい)とは、相手に自己開示をされたら自分も自己開示をしたくなるという心理です。
自分をさらけ出して話してくれる相手には、こちらもそれと同じくらいオープンになっても良いかなと感じるものです。
親密になりたい相手には、まず自分の心をオープンにすることで、相手も心を開きやすくなるということですね。
悩みや考えていることなど、自分の弱い部分も自己開示することで、深い自己開示となり、相手も同じようなレベルの自己開示をしてくれるようになります。
また、こういった深い自己開示で、相手の共感を得ることができたら、さらに新密度が上がるでしょう。
自己開示は自分の精神を健康にする!?
自己開示をすることは、自分に充実感を与え、幸福度もUPする要因になるという研究結果もあります。
自己開示をすることで充実感が得られるのは、自分の話で相手に楽しんでもらえる、そして自分のことも肯定してもらえるという経験が増えるからだと言います。
人は人と関わることで充実感を得ることができるので、自己開示を通したコミュニケーションが増えることはより充実感を高めることとなります。
心理的幸福感と自己開示の量の研究で、自己開示が多くなるほど幸福度が増すということも分かっています。
自分の感じていることを素直に表現することは、自分を幸福にすることでもあるのですね。
自己開示は、自分自身にとっても非常にメリットがある行為だということが分かります。
自己開示が苦手な人
現代では、自己開示が苦手な人が増えていると言われています。
顔を見て話さなくても良い機会が増えているので、自己開示する場面が減っていると考えられます。
自己開示が苦手な人の特徴は、会話が一問一答になってしまうということです。
相手が自己開示をしていても、それに上手く返事をすることができず、一言で会話を終わらせてしまうのです。
自己開示が苦手なのは、自己開示の経験の少なさや自分の自信のなさが原因と言えるでしょう。
コミュニケーションが上手な人とそうでない人がいると思いますが、やはり上手な人はそれだけ多くのコミュニケージョンをしてきているのです。
苦手な人は、自分がコミュニケーションを苦手だと意識してしまうことで、余計にそのような場を避けるようになります。
こうして、コミュニケーションのレベルにますます差が出てくるのです。
また、自分に自信がない人は、自己開示をするのも下手なケースが多いです。
自分のことを話してもつまらないんじゃないか、理解してもらえないんじゃないかと考えてしまい、自己開示を避ける傾向にあります。
こうなると、良い人間関係を築くことが難しくなり、周りからの信頼や興味を得ることも難しいでしょう。
自己開示をしないことは不信感に繋がってしまいますので、うまく話せなくても、自然に自分のことを伝えようとしてみることが大切です。
自己開示が上手くなる方法
先に、自己開示が苦手なのは、コミュニケーションの経験が少ないこと、自分に自信がないことが原因だと述べました。
これはいくらでも改善する余地がありますので、ぜひ自然と自己開示をできるようなって、良い人間関係を増やしていきましょう。
まず、家族や既に知り合いの人でも良いので、人と話す機会を増やしましょう。
そこで、自分の考えや思っていることを装飾せずに話してみます。
相手にどう思われるかは関係ありません。
これは自己開示なので、本当の自分でいればそれで良いのです。
ここでポイントなのですが、空気の読めない発言でもまったく問題ありません。
どう捉えるかは相手次第で、自分で決めることではないので、細かいことは気にしないことが大切です。
そして、相手の会話から自分の情報をプラスして返事をする癖をつけましょう。
例えば「今日は、疲れたね~。」と言われたら、「そうですね、私なんて一日中立ち仕事なので、腰が痛くなっちゃいましたよ。」など、自分の情報を加えて返事をしてみましょう。
これでしっかり自己開示できていますね。
自己開示って、自分に起こったこと、思ったことなどを伝えるだけで良いので、とても簡単なんですよ。
相手にどう思われるかを考えなければ、すごく簡単なことですよね。
特別面白い話でなくても良いんです、ありのままのあなたを伝えてみましょう。
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